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ジブンライフ

「自分らしい人生」をテーマにライフハック、オピニオン、マネジメント、時事ネタなど自由に書いています。

京都クリスマスの風物詩「鴨川等間隔の法則」を知っていますか?

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京都に住んでいる人は知っているであろう有名な法則が「鴨川等間隔の法則」です。

これは鴨川の川辺にカップルたちがなぜか等間隔で座るという現象を呼んだものです。

「鴨川等間隔の法則」はクリスマス以外でも見ることはできるのですが、やはりこれを紹介するならクリスマスの日だろうということで。

今回はこの法則についてと、なぜこのような現象が起きるのかを心理学の視点から解説します。

ちなみにこれは「京都・鴨川河川敷に坐る人々の空間占有に関する研究」という形で論文にもなってまして、「鴨川等間隔の法則」は学問的にも意義のあるものらしい……。

参照:http://ci.nii.ac.jp/naid/110004175657

噂では京都新聞がメジャーを片手にカップルの間隔を実値計測してレポートしたとか。なんと不毛な……。

なぜ鴨川にカップルが集まるのか

鴨川は京都を流れる一級河川で、京都の繁華街の近くにも流れており、夜景が非常にきれいです。カップルが多いのは三条大橋や四条大橋の付近でしょうか(たまに、さらに北の出町方面でも見かけますが)。

京都には夜景がきれいな場所はたくさんあるのですが、鴨川から見える夜景は京都の町中にあるため「京都的な夜景」といえるでしょう。

繁華街と一体化しているといっていいほどの距離にあるため、人が集まりやすいと考えられます。

以下は「鴨川 夜景」でGoogle画像検索をしたときの結果です。

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カップルが鴨川に集結するのも頷けるのではないでしょうか。お洒落なお店で食事をして、鴨川で夜景を楽しみ、宿泊という流れがこの近辺だけ完結するのです。

鴨川のカップルとパーソナルスペース

カップルが等間隔で並ぶことに関しては、パーソナルスペースという概念で説明することができます。

パーソナルスペース(英:personal-space)とは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで、パーソナルエリアとも呼ばれる。 一般に女性よりも男性の方がこの空間は広いとされているが、社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても差がある*1

要するに人間は他人とは近づきたいとは思わないので、一定の距離を保っておくということ。

鴨川の場合「座りたいけど周囲にカップルが座っているから、一定の距離を置いて座ろう」というカップルが多数存在するためにこうした現象が起きるのです。

あとから人が来たら等間隔にならないんじゃないかとも思うのですが、みんな気を使って座る場所を変えるのかその法則が乱れることはありません。

人は列に並ぶときなども無意識に人との間隔を空けようとしますが、それがわかりやすい形で見えるのが「鴨川等間隔の法則」だといえます。

日本人のパーソナルスペースは広い

なんとなく想像がつくかもしれませんが、日本人のパーソナルスペースは広い。つまり他人との距離を取りたいという国民性的なものがあるそうです。以下の文章では中国人と日本人について言及しています。

私たちは無意識のうちに、他人との一定の距離をとって、快適な空間を保とうとする。専門分野ではこの空間を「パーソナル・スペース」と呼ぶ。私の感覚からすると、「パーソナル・スペース」の基準値を1としたら、日本では1~1.2が普通で、中国では0.8~1に近い。数値上の微妙な違いは少々抽象的だが、実生活ではこの差を大きく感じる場合が多い。(外国人学生に対する研修より)

鴨川等間隔の法則が乱れているときがあるのですが、そのときは間に外国人が入り込んでいることが多いのです。「あ、外国の人は距離が近くても気にしないんだ」と思わされます。

小説にも登場する鴨川等間隔の法則

京都大学出身の小説家森見登美彦さんの『太陽の塔 』は舞台が京都であり、京都の地名などが事細かに記されています。そこでは鴨川等間隔の法則も紹介されているのです。

鴨川に等間隔に並んでいる男女の群れは有名である。彼らが一定の距離を置いて並んでいることから、一般に「鴨川等間隔の法則」という名で知られている。夕刻に鴨川に出る孤独な学徒たちにとって、この不快な難問は解決されたためしがなく、解決しようという奇特な人間もいない。我々はしばしば幸せそうに並ぶ男女の間に強引に割り込み、男女男女男女男女男男男男男女男女男女男女という「悲しみの不規則配列」を作ってみたが、奴らは大して見栄えのするわけでもないお互いの顔面表皮を眺めるのに夢中で、我々のいじましい苦闘など眼中になく、かえって深い痛手を負うのは我々であった。それでも二三ヶ月もたつと、またむらむらと湧いてくる悋気の矛先の向けようがなく、我々は性懲りもなく再び「鴨川等間隔の法則」との過酷な戦いを余儀なくされるのであった*2

森見登美彦さんの小説は、ぼくが京都に進学するきっかけの一つです。とにかくおもしろい作品が多いので、まずデビュー作である『太陽の塔』おすすめします。

さいごに

鴨川等間隔の法則を構成するのはカップルだけではなく、女性だけ男性だけのグループも見かけます。しかし、クリスマスの夜に男二人で鴨川に座ったりするのはなかなか勇気のいることでしょう。

 
彼女が「ここに座ろうよ」と言ったとき、ぼくは「馬鹿野郎、ここに座ったら法則が乱れるだろ!」と言って別の場所に誘導したことがあります。

こんなふうに、鴨川等間隔の法則を知っている人には意識的に法則を守ろうとしている人もいます。しかし、基本的には意識していないのに等間隔で座ってしまうのです。

よくこれを発見したなぁと思います。ぼくは勝手にこの法則は同志社などの学生によって構成され、京大生が発見したのだと信じています。

心を許した大好きな人と密着して隣り合って座り、他人とは距離を置いて座る。人の心の中を映し出したような光景をみせてくれるのが「鴨川等間隔の法則」なのです。

*1:パーソナルスペース - Wikipediaより

*2:森見登美彦(2003)『太陽の塔』新潮文庫

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