知識を深めることができているかを確認するための3つの段階
知識を深めるとはどういうことなのでしょうか。
様々な考え方があると思うのですが、今回はぼくが本を読んでいるときに感じる三つの理解の段階についてお話したいと思います。
第一段階が一番基本的なものであろう「その本を理解する」こと、第二段階が特に同じ分野の本を読んでいると感じる「色々な本の共通点を見つける」こと、第三段階として「知識を組み合わせて新しいことを考える」と考えました。
それではそれぞれの段階について説明していきましょう。
第一段階:その本を理解する
もっとも基本的なこととして、その本の内容を理解するということが第一段階としてあげられます。
ただし、理解することと本を読み終えることは同じことではありません。
本を読んで理解して(したつもりになって)、その内容を自分の言葉で説明できるようになってはじめて知識が深まったといえるのではないでしょうか。
本の要約を書くという作業は、本当に本の内容を理解しているかを確かめるのに役立つでしょう。
基本的に本には「問い」「主張」「論証」「論拠」というものがあると知っておくと、理解をする手助けになります。
主に論文でよく使われる概念ではありますが、多くの書籍でもこれに当てはめて考えられるはずです(できないものもありますが)。
この概念を知るにあたっては、学生向けですが『論文の教室』や、それよりはちょっと難しい『議論のレッスン』をおすすめします。
第二段階:色々な本の共通点を見つける
第二段階として、様々な本を読んでいくなかで共通点を見つけることがあげられます。
共通点は同じ言葉でもいいですし、違う言葉を使っているけど言っていることは同じだというものあるでしょう。
主張は同じなのに、あげている根拠がまったく違うというもの見つけられると、その主張を根拠付けるために様々なものがあることに気づけます。
例えば、『7つの習慣』のWin-Winの関係と近江商人の「三方良し」をご存知でしょうか。
「Win-Winの関係」は簡単にいえばどちらかが損をするのではなく、互いが得をするような関係をつくるべきだというもの。
「三方良し」は「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」のことで、売り手も買い手も得をして、社会にも良い影響を与えられるような商売をしようという近江商人の考え方です。
それぞれ時代も国も違うのに、根本的にある考え方は非常に似ているといえます。こうした共通点から新しい何かを考えたり、「これは色々な場所で考えられている重要な事なんだ」と気づくことができるでしょう。
また、こうしたものを見つけたときには大きな喜びを感じることができるものです。
「Win-Winの関係」については使われる機会が多いせいか、微妙に意味が違うと感じていますので、以下の記事を紹介しておきます。
参照:Win-Win(ウィンウィン)の関係の意味を多くの人が勘違いしている | jMatsuzaki
第三段階:知識を組み合わせて新しいこと考える
第三段階として、知識を組み合わせて新たなことを主張したり考えたりすることがあげられます。
これは第一段階と第二段階があってこそ生まれるものであるといえるでしょう。
本の内容を理解して、それらの共通点を見つけたり、それぞれの知識や主張を組み合わせたりすることで、新しいことが考えられるようになるといえます。
基本的に論文は新しい主張をするものですが、その主張のためには様々な論文を引用したりするものです。これも様々な知識を前提に新しいことを考えるものだといえるでしょう。
よい本や論文を書いている人というのは、やはりこの段階に達しているのだなとぼくは考えています。
また、たまに「男の人が偉そうに政治や経済について語っているけど、聞いてみると新聞やネットの情報そのままだよね」という批判を目にしますが、この状態をぬけ出すには第三段階の知識が必要だといえます。
まだ発展段階のもの
これは現時点で本における「知識を深める」ということに対してのぼくの考え方です。
昔考えていたものとも大きく形が変わっているので、これからも変わっていくだろうなと思っています。
そもそも、自分が第一段階をちゃんとできているかもわかりませんし、自分の発展段階に従って考え方が変わっていくのでしょう。
とはいえ、本を読んだりしているときに「自分はちゃんと知識を深めるなんてことができているのかな」ということを確認するときの指標として非常に便利だといえます。