どこからがパクりなの?クラシックのパクり疑惑?で考えてみる
東京オリンピックエンブレムのパクり騒動が話題になっていますね。
あれを見て思ったのは、どこからがパクりなんだろうということです。
今回の場合、「みんながパクりだと言ったからパクりだ!」という側面があります。
でもさすがにそれじゃあ、まずいだろうと。
ぼくはデザインはかじってますけど、絵心が致命的にないので、音楽の方でパクりについて考えてみることにします。
有名なチャイコフスキーの作品と、パクり疑惑のあるちょっとマイナーな楽曲を取り上げるんですが、めっちゃくちゃ似てるんですよ!
ちょっとマニアックですが、誰でもわかるくらい似てるので、ぜひご覧ください。
できる限り短時間で見れるように工夫していますが、それでも多少時間をとりますので、ブックマークでもしておいて、時間のあるときにご覧いただけたらと思います。
チャイコフスキーとボルトキエヴィチ
今回取り上げる作曲家はこのお二人。
みんな名前は知っているであろう「白鳥の湖」などでおなじみのロシアを代表する作曲家チャイコフスキー。
そして、知る人ぞ知る隠れた名作曲家ボルトキエヴィチ。
どちらもロシア系の作曲家で、ボルトキエヴィチにとってチャイコフスキーは大先輩です。
そして今回取り上げる曲は以下の三つ。
チャイコフスキーの著名な作品を二つ、ボルトキエヴィチの作品を一つ。
一応、参考程度に動画も載せておきます。
下の解説のところで似ている箇所の秒数を指定したURLを掲載しているので、別に見なくてもまったく問題ありません(見たら1時間かかりますし)。
- チャイコフスキー 交響曲第4番より4楽章
- チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」より3楽章
- ボルトキエヴィチ 交響曲第1番「わが祖国から」より4楽章
チャイコフスキー 交響曲第4番より4楽章
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」より3楽章
ボルトキエヴィチ 交響曲第1番「わが祖国から」
本当はボルトキエヴィチの交響曲も楽章のみのやつが欲しかったんですけど、なんせマイナーなので……。
作曲家としての知名度も、Youtubeの再生回数も大きな差がある二人です。
ボルトキエヴィチの方が後から生まれています。
それではパクりと思われる箇所を解説していきましょう。
パクり(?)ポイントの解説
ポイント1「弦と木管の細かいかけあい」
まず聴いていただきたいのが、チャイコフスキーの二つ交響曲の一部分。
チャイコフスキー 交響曲第4番より4楽章 6:38
https://youtu.be/W4-1i0HxKEY?t=6m38s
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」より3楽章 5:08
https://youtu.be/5A89CKO43Ww?t=5m8s
この二つ非常に似ていますよね!
まあこれは同じチャイコフスキーの作品ですからパクりでもなんでもないんですけど笑
問題は次です。
ボルトキエヴィチ 交響曲第1番「わが祖国から」 37:49
https://youtu.be/Im_AXGLZZJ0?t=37m47s
ほらもう完全に一致してますよね笑
誰が聴いてもそっくりだと思うでしょう。
これはパク……オマージュしていると言わざるを得ません。
ポイント2「ホルンのアンサンブル」
チャイコフスキー 交響曲第4番より4楽章 6:10
https://youtu.be/W4-1i0HxKEY?t=6m10s
ボルトキエヴィチ 交響曲第1番「わが祖国から」 より4楽章37:04
https://youtu.be/Im_AXGLZZJ0?t=37m4s
次はこちらですね。
これは人によって意見が分かれるでしょうが、ホルンのアンサンブルが似ています。
なにより、どちらの曲もこのポイント2のあとにポイント1が来るんですよ。
構成が酷似していると言わざるを得ません。
ポイント3「下降音階」
チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」より3楽章 7:54
https://youtu.be/5A89CKO43Ww?t=7m54s
ボルトキエヴィチ 交響曲第1番「わが祖国から」より4楽章 40:19
https://youtu.be/Im_AXGLZZJ0?t=40m19s
曲の終盤ですが、下に降りていく音階が非常に似ています。
しかも両方とも、曲の最後の方に出てくるという点も同じなんですよ。
まとめ
これはパクりなのか
結論からいえば、これはパクりではありません。
もっとも世間がこれをパクりだとは認識していないからという意味もありますが。
明らかに似ているんだけど、世間ではなにも言われてないから平気だったと考えることもできるということです(当時はインターネットなんてないですし)。
まあ世間の評価はおいといても、ボルトキエヴィチが、ロシアの作曲家の大先輩であるチャイコフスキーの作品をオマージュしたと考える方が妥当でしょう。
タイトルも「わが祖国から」ですし。
ただロマン派以降作曲家の集大成たる交響曲でオマージュか……という気もしますが笑
ここがチャイコフスキーと彼の差かもしれません。
時間ある方は、チャイコフスキーの交響曲第4番より4楽章とボルトキエヴィチの交響曲第1番「わが祖国から」より4楽章を通して聴いてみると、全体的に似てるということがわかると思いますよ。
どこからがパクりなのか
今回紹介した例も、音楽でよくあるフレーズだろうと考えることだってできるわけです。
また、音楽史を勉強した人ならば、その作曲家の背景も含めて考察することができるでしょう。
しかし、今回のパクり騒動からみれば、素人の力が大きくはたらいでいるわけですから、専門的な知識がなくてもパクりじゃないことを証明できる方が好ましいですよね。
結局、どこからがパクりなのかわからないということが問題なんです。
世間、特にネット上でパクりと騒がれたらパクり認定されるなんて無茶苦茶ですし。
佐野氏のエンブレムも、あれだけシンプルなモノなら、世界のどこかで似たりするんじゃないのと思わなくもないのです。
デザイン自体は、最近はやりのフラットな感じで作られてますから、偶然被っただけかもしれません。
だからといって、あれがパクりじゃないと擁護できるかというとできないし……。
本当にパクりじゃないと主張するんだったら、撤回して欲しくなかったですね。
パクり認定されることが怖くなって自由に創作できない世の中なんて嫌ですしね。
なにか安心して創作できる仕組みが欲しいものです。
というわけで、今回はクラシックのパク……オマージュを紹介したうえで、どこからがパクりなのかわからないよねというお話をしました。
ボルトキエヴィチって覚えにくいですね……。