ジブンライフ

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目標達成のためには適切な「資源配分」をしなければいけない

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目標や戦略を達成するためにはなにが必要だろうか。

企業でも人生でも「資源配分」が重要であることは間違いない。資源とはお金や時間、労力などのことであり、それをいかに使うかが目標達成の鍵となる。

今回は自分のしたいことや目標を達成しようとするときに大切になことと、短期的な利益に惑わされず、長期的視点に経って行動していくことの重要性を説明する。

 
今日で4記事目になるが、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・M・クリステンセン教授の著書「イノベーション・オブ・ライフ」をもとに紹介する。この本は人生をよりよく過ごすための「理論」を教えてくれる本である。

なお、以下の記事はイノベーション・オブ・ライフの他の内容を説明したものである。様々な理論をもとに生き方を教えてくれる。

人生の決断をするときには「理論」を使うとうまくいく

お金だけでは幸せになれない。とある理論が教えてくれること

人生は計画通りにいかなくてもいい。偶然を意図に変える戦略

アップル、迷走の時代

ジョブズ追放とアップルの迷走

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iPhoneなどで有名なアップルの物語は、適切な資源配分ができていないことがいかに致命的であるかを教えてくれるという。

1990年代、アップルが創設者のスティーブ・ジョブズを追放すると、アップルは迷走しはじめた。

夢のような製品を生み出す能力が途絶え、ジョブズの課してた規律も失われ、戦略にも一貫性がなくなった。

 
例えば、アップルはマイクロソフトへの対抗策として「コープランド」という新しいOSを作ろうとした。

経営陣はそれが重要であると認識していたし、従業員や株主、マスコミにもその重要性を触れまわっていたという。

しかし、それはいつまで経っても完成せず、最終的にコープランドのプロジェクトは凍結されてしまった

 
なぜなら、アップルのエンジニアは企業の戦略など無視して、自分の気に入ったアイデアを生み出すことに集中していたからだ。しかも、それに対して怒鳴る人などいなかったという。

つまり「コープランド」という目標があったにも関わらず、その目標のために「従業員の時間」「従業員の能力」といった資源が適切に配分されていなかったということだ

ジョブズ復帰と適切な資源配分

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ジョブズは1997年にCEOに復帰すると、迷走の根本原因だった資源配分問題の解決に、ただちに取りかかった。
社員がそれぞれ勝手な優先事項に取り組むことを許さず、アップルをそのルーツに引き戻した。
世界最高の製品をつくり、暮らしにおける技術のあり方を根本的に変え、すばらしいユーザー体験を提供することだ。これに合わないことはすべて中止された。
従わない社員は罵倒され、侮辱され、あるいは解雇された*1

ジョブズの復帰によって、資源配分の問題は解決された。アップルは、ただ1つの明確な目標に向かって全員が努力をするようになった

資源配分の問題を解決したアップルが、このあといかに活躍したかはよく知られているとおりである。

iPhoneを知らない人はいないし、それは文字通り人々の暮らしを大きく変えた。

 
この事例は、どんなに素晴らしい戦略や目標を立てても、それを実現するために適切な資源配分をしなければ何の意味もないということを教えてくれる。

要するに「口で言ってるだけじゃ意味がない」ということだ。

人生における資源配分

自分の人生の「事業」

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アップルのような事例は、私たちの人生にどのように役立つだろうか。

資源配分の仕組みは、企業でも人生でもそんなに大きく変わらない。やるべきこと、つまり「事業」に適切な資源を投資していくということである。

人生における資源には「時間」「能力」「お金」などがあげられる。

事業といえば、「仕事での成功」「子育て」「家族との関係」「友達との関係」などがあげられる

 
この資源を事業に振り分けていく。もちろん資源には限りがあるため、どのように配分するかが重要になってくる。

わたしたちはプライベートな時間や労力、能力、財力といった資源をもっていて、これを使ってそれぞれの人生でいくつもの「事業」を育てていく。
たとえば伴侶や恋人と実り多い関係を築く、立派な子どもを育てる、キャリアで成功する、教会や地域社会に貢献するといったことだ。残念ながら資源には限りがあるため、それぞれの事業は資源を得ようとして競い合う。
つまり、わたしたちも企業とまったく同じ問題を抱えているのだ。それぞれの事業を追求するのに、どの資源をどれだけ配分するべきだろう?*2

目標達成を常に意識して配分できるか?

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人生における資源配分の話は、よく考えてみれば当たり前のことで「なんだ」と思うかもしれない。

しかし企業が資源配分を意識できていないことがあるように、人生において常に資源配分を意識できている人は少ないという。

資源配分は意識して管理しようとしなければ、もともと脳や心に備わった「デフォルト」の配分をしてしまうと述べられている。ついついダラダラすることに時間という資源を費やしてしまうこともそうだろう。

 
しかも厄介なことに、常にあらゆる人たちがあなたの資源を求めてくる。わかりやすいのは「時間」である。例えば「これ手伝って」「飲みに行こうぜ」という具合である。

自分のやりたいことに集中していたとしても、本当に今するべきことはなにかを見極めるのは非常に難しい。

また、少しでも余裕ができると、他の人や自分の欲望が、適切な資源の配分を妨げにくるかもしれない。

 
人は死に際に「自分の時間を生きればよかった」と後悔する人が多いという話を聞く。

このような後悔をしている人は、適切な資源配分ができなかったのだろう。人生の目標達成に繋がらないにも関わらず、他人のために自分の資源を配分しすぎたのだ。

もちろん、そうした他人の誘いによって思いがけないチャンスを得ることもあるため、一概に悪いこととはいえない。ただ、それによって道を外れてしまうこともある。

どうなるかわからないからこそ、資源配分について常に考えることは重要なのだ

短期的な利益に惑わされない

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同級生たちは昇進や昇給、ボーナスなどの見返りがいますぐに得られるものを優先し、立派な子どもを育てるといった、長い間手をかける必要のあるもの、何十年も経たないと見返りが得られないものをおろそかにした*3

資源配分でよくやりがちな間違いは、短期的な利益に注目し、重点的に資源を配分してしまうことである。

本書では、特にキャリアについてこうした間違いを犯してしまうことが多いと述べられている。

昇進を勝ち取ることや、製品を出荷する、なにかに勝利することなどに、無意識のうちに資源を配分してしまう。こうしたものは自分が前進していることがわかりやすいからだ

 
恐ろしいことに、こうした間違いを犯してしまう人は決して「家族よりも仕事が大切だ」などと思っているわけではない

むしろ家族という存在がいかに大切か認識しているし、それを大切にすることが人生の目標に含まれている。

ただ、そこにうまく資源を配分できなかったため、目標達成できなかったのだ。

実際、上昇志向の強い人たちの私生活には、同じパターンが見られることが多く、思わずハッとさせられる。家族ほど大切なものはないと頭では思っているのに、かつて一番大事だと言っていたものに、ますます資源をふり向けなくなっていくのだ*4

資源配分と7つの習慣

長期的に成功している人たちが実践している習慣をまとめたスティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」も、この人生と資源配分の問題について触れている。

第3の習慣「最優先事項を優先する」は、私たちの時間という資源をいかに有効に使うを考えるものだ。

人は「重要かつ緊急」の用件をもっとも重要視し、それにばかり時間をかけてしまうが、自分の成長のための取り組みなど「重要だが緊急ではない」ことが成功のために大切だという。

これはつまり「短期的な利益よりも、長期的視点に基づく利益を重視して時間という資源を配分するべき」ということだろう。

まとめ

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  • 企業では適切な資源配分ができていないと「迷走」する
  • 企業でも人生でも「事業」に適切な資源配分をすることは目標達成のために大切である
  • 人生における資源とは「時間」「能力」「お金」など
  • 人生における事業とは「仕事」「子育て」「人間関係」など
  • 無意識に過ごしていては適切な資源配分はできない、常に意識して行動することが大切
  • よく短期的な利益に時間を割いてしまうが、すぐに効果を感じられない長期的視点にたった資源配分が重要である

今回は資源配分の理論をもとに、人生における資源をいかに配分していくかということをお話しした。

企業がそうであるように、人生にも適切な資源配分が必要であるそれができなければ目標達成は望めない

もちろん、なにに資源を配分することが適切なのかは人によって異なる。飲み会を無駄だという若者は増えてきているが、これに資源を配分することこそが重要だと主張する人もいる。

 
いずれにせよ、今回知っておくべきなのは、資源配分ということを意識しているかしていないかで、どんな人生を送るかどうかが変わるかもしれないということだ。

何も意識せずにすごしていると、知らない間に人生が迷走してしまう恐れがある。

実のところ、あなたが望み通りの人生を送れるか、意図したものとはかけ離れた人生を送るかは、どうか自分の資源をどのように配分するかによって決まるのだ*5

関連記事(イノベーション・オブ・ライフ)

人生の決断をするときには「理論」を使うとうまくいく

お金だけでは幸せになれない。とある理論が教えてくれること

人生は計画通りにいかなくてもいい。偶然を意図に変える戦略

*1:クレイトン・M・クリステンセン(2012)『イノベーション・オブ・ライフ』翔泳社 p.77

*2:同上 p.80

*3:同上 p.82

*4:同上 p.82

*5:同上 p.81

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