「企業ブランド価値ランキング」上位企業の経営理念について語る
「企業ブランド価値ランキング」が発表されました。
そこに並んでいる名だたる企業には、素晴らしい経営理念があります。
「経営理念なんてどうせ対して意味がないだろ」「理想論だろ」という人はいくらでも見たことがありますが、こうした企業のほとんどに素晴らしい経営理念が存在することは無視できることではありません。
これらの優れた企業がどのような目標や価値観を持っているのか知ることで、本当の成功とはなにかわかるかもしれません。
そんなわけで「企業ブランド価値ランキング」上位企業の経営理念を一部ですが、まとめました。
その「いい感じ」の経営理念は実践されているか
「いい感じ」の経営理念を掲げることは簡単です。当ブログも「世界中の人々に生き方や価値観を提案し、自分らしい人生・豊かな社会の実現に貢献する」(2015.10/8時点)なんて壮大な理念を持っています。
掲げることは簡単なんです。問題はそれを実践できているかどうか。
「社員は人財」なんていいながら、社員をこき使っているブラック企業なんていくらでもあります。そうやって経営理念とやっていることが違っていると、「こんなと建前だ」「理想だけだろ」となってしまうんですね。
しかし、ここに登場する企業の多くは「いい感じ」にとどまらず、それを本当に実践し、成功し、理想を実現しています。
もちろんすべての企業が実践できているわけではありません。経営不振の企業は、やはり経営理念が「建前」になりつつあります。
ただまとめを眺めるだけではなく、そういった点に注目しながら読んでみてはいかがでしょうか?
77位 Johnson & Johnson
・我々の第一の責任は、我々の製品およびサービスを使用してくれる医師、 看護師、患者、そして母親、父親をはじめとする、すべての顧客に対する ものであると確信する。
・我々の第二の責任は全社員 ――世界中で共に働く男性も女性も―― に対する ものである。社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認め られなければならない。
・我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の 共同社会に対するものである。
・我々の第四の、そして最後の責任は、会社の株主に対するものである。 事業は健全な利益を生まなければならない。
経営理念といえば、Johnson & Johnsonの「我が信条」でしょう。
「経営理念なんて所詮建前だろ、どうせ企業は金儲けが優先なんだ」という人に知ってほしいのが、Johnson & Johnsonのタイレノール事件での対応。
簡単にいえば利益よりも、周囲の人たちや顧客、しいては社会を優先したという話です。
1982年・1986年の二度にわたるタイレノール事件のときほど、この真価が発揮されたことはありません。この事件対応に関わった経営陣、現場の社員の誰もが、「我が信条」に込められた哲学に従って、数え切れないほどの意思決定を行ないました。のちに、このときのジョンソン・エンド・ジョンソンの対応は企業の危機管理の好事例として色々なところで取り上げられています。 https://jnj.co.jp/group/credo/01/index.html
大きな事件があったにも関わらず、タイレノール®が再び信頼を得ることが出来たのは、「消費者への責任」を第一に考えた体制をとったからでしょう。これはジョンソン・エンド・ジョンソン社の企業理念である「我が信条」の第一の責任に立ち戻った意思決定であったのです。
http://tylenol.jp/story02.html
58位 ソニー
自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html
経営理念というか、会社設立の目的から一部抜粋しました。これものすごく有名です。
ただ個人的に今のソニーのイメージは「愉快」というよりも、こうピシッとしたイメージですよね。これも経営不振に関係しているのかな……。
なんだか最近は商品の中身や技術より、見てくれの美しさ・かっこよさだけに特化して誤魔化している印象すらあります*1。
Yahoo知恵袋の1ユーザーの意見ですが、なにか感じるところがあります。
35位 フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲンのブランドバリューは、「価値ある(valuable)」、「革新的な(innovative)」、「責任感のある(responsible)」です。
http://www.volkswagen.co.jp/ja/volkswagen/company/outline.html
さて、フォルクスワーゲンはこれから動向に注目です。起きてしまったことに対して、「責任感のある」対応が問われています。
経営理念がただの都合の良い建前なのか、それても本当にその企業の信念であるのか試されているといえるでしょう。
12位 メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツ、最も愛されるブランドへ
http://www.mercedes-benz.jp/corporate/message/index.html
13位 ディズニー
「私はディズニーランドが、幸福を感じてもらえる場所、大人も子供も、ともに生命の驚異や冒険を体験し、楽しい思い出を作ってもらえるような場所であってほしいと願っています。」
http://www.olc.co.jp/tdr/profile/tdl/philosophy.html
これはウォルト・ディズニーの言葉ですね。これがディズニーの基本的なコンセプトだとか。
14位 インテル
コンピュータ業界において卓越したビルディング・ブロック(基本要素)の供給会社となることで、顧客、社員、株主に貢献すること
http://matome.naver.jp/odai/2133083118012107301
「インテル入ってる」は理念ではありませんよ。
23位 Facebook
5つの経営理念 - 影響力が重要(FOCUS ON IMPACT)
- 素早く動く(MOVE FAST)
- 大胆であれ(BE BOLD)
- オープンであれ(BE OPEN)
- 社会的価値を築く(BUILD SOCIAL VALUE)
http://www.afpbb.com/articles/-/2854896
Facebook自体はあまり好きじゃないんですが、企業自体はホント好きなんです。
10位 Amazon
地球上で最も豊富な品ぞろえを提供し、お客さまの全てのニーズに応え続けます。
http://amazon-jp-newgrads.com/company/index.html
いやぁ地球上って美しい。このブログの理念は「世界中」という言葉を使っていますが「地球上」に変えようかな……。
9位 マクドナルド
当社は今後も持株会社としてハンバーガービジネスで培った資産を有効活用し、経営の効率化と機動性の強化を通して企業価値の向上を図ることにより、長期的かつ安定的なグループ企業の成長を図りたいと考えております。
http://www.mcd-holdings.co.jp/company/philosophy/
これは日本マクドナルドの経営理念です。経営理念ページの「会社経営の基本方針」に書かれている経営理念なんですが、見てびっくりしました。夢がありませんよね。他の企業と比べてみてください。
実際、最近不振のマクドナルドですが、ここに書いてあるような方針で経営しています。で、この経営理念には「顧客」のメリットが全く書かれていません。
経営理念からしても、最近のマクドナルドのやりかたからしても、明らかに利益重視で、顧客の利益は二の次ですよね。そりゃ不振にもなるわけです。
最初ぼくは「マクドナルドは経営理念を実践していないことが経営不振の一因だ」と考えていましたが、違いますね。「微妙な経営理念をしっかりと実践してしまっている」ことが原因でしょう。
8位 GE
私たちは、グローバルな規模と人材、高い専門性を活かし、世界が直面する最も困難な課題の解決に貢献します。
http://www.ge.com/jp/company/factsheet_ge.html
7位 Samsung
絶え間なき「革新」で未来を拓け
http://www.samsung.com/jp/samsung-recruit/
経営理念として書かれているものは見つからなかったのですが、おそらくこれだろうと採用情報から引用。
6位 トヨタ
1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
http://www.toyota.co.jp/jpn/company/vision/philosophy/
トヨタはたくさん経営理念を掲げているんですが、どれもちゃんと実践されているんですよ。本当に素晴らしい企業です。
5位 IBM
4位 Microsoft
世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること
ちなみに創業当時の経営理念は「すべてのデスクと、すべての家庭にコンピューターを。」*2だとか。
この理念、当時では実現するとは思えなかったでしょうが、今ではほぼ達成されているといってもいいでしょう。だから新しい理念があるんですよね。すごい。
3位 コカ・コーラ
飲料を通じて
価値ある「商品、サービス」を提供することで、
お客さまの
ハッピーでいきいきとしたライフスタイルと
接続可能な社会の発展に
貢献します。
http://www.ccwest.co.jp/company/idea.php
ここで「接続可能な社会」という言葉が出てくるとは……。あんまり意味知らないけど。
2位 Google
Google が掲げる 10 の事実
1.ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2.1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3.遅いより速いほうがいい。
4.ウェブ上の民主主義は機能します。 5.情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
6.悪事を働かなくてもお金は稼げる。
7.世の中にはまだまだ情報があふれている。
8.情報のニーズはすべての国境を越える。
9.スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10.「すばらしい」では足りない。
http://www.google.com/intl/ja_JP/about/company/philosophy/
1位 Apple
さて、意外かもしれないが、実はアップルには他の企業のような「かくあるべし」を指し示すミッション・ステートメントは見当たらない(http://globis.jp/column/1812/より引用)。
Appleには明確な経営理念がないんです。ただ、上記の記事にもあるようにAppleに経営理念が本当に存在しないと感じる人はいないでしょう。
ジョブズの強い影響があったために、Appleは共通の価値観を示さなくても同じ方向に進んでいくことができたのかもしれません。
ものすごく特殊な企業だと思います。うーん興味深い……。
もしかすると、強い志を持ってモノ作りを続けたジョブズという人間そのものが、アップルの理念として受け継がれているのかもしれません。(https://hr.wantedly.com/plan/corporate-philosophy/より引用)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「企業ブランド価値ランキング」に登場するような企業には優れた経営理念があります。
そしてただあるだけではなく、確かにそれが実践されているのです。
確かにそれは「理想論」かもしれませんが、そんな理想を実現した素晴らしい企業が世の中には存在するということを忘れてはいけません。